2008年08月15日

犯人に告ぐ 雫井脩介



 犯人に告ぐ
 雫井脩介
 双葉社 (ISBN:978-4-575-51155-0)
 発行年月 2007年09月

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 京都に行く前から読んでいて、読破に半月以上とは・・・
 異常なほど時間はかかってますが、作者の名誉のためにも、「この本は面白い」と書かねば。

 クローズド・ノートを読んで、しっかりした文章と構成力に感動して続けて読みました。

 違う趣向の小説で、作者の幅の広さを感じながら読んでいました。
 この本は映画化もされており有名な作品。

 表向きは警察小説なのに、主人公巻島を通じたメンタルな作品でした。
 前半は、ある事件を通じて巻島の人物像を読ませながら、彼に十字架を背負わせます。

 復活した巻島には、記憶にある事件が再び蘇ってくる。
 その緊迫感の中で、丁寧に巻島の気持ちが書かれていて、巻島の執念や償う心理がよく理解できました。

 また違う作品にも手を出そうと思う。

posted by 雪になあれ at 00:49| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 雫井脩介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月25日

クローズド・ノート 雫井脩介



 クローズド・ノート
 雫井脩介
 出版社名 角川書店 (ISBN:978-4-04-388601-2)
 発行年月 2008年06月

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 いい本でした。
 既に映画は観ていました。
 とても丁寧に書き込まれた原作なんですね。
 正直感動しました。

 映画でも感じた印象なんですが、主人公香恵と伊吹先生の気持ちや境遇を交差させて、ゆっくり丁寧に展開させていく手法に読んでいて手応えを感じていました。

 タカシの謎解きに読者を導いていく書きっぷりも勿論なんですが、実は冒頭の万年筆のくだりでもう読者はやられてるんでしょうね。

 万年筆のネーミングや質感について、登場人物に語り合わせることが、それだけで物語になっていて、登場人物の個性まで感じさせるなんて、著者の筆力は相当なものです。

 著者の丁寧で几帳面な書きっぷりは、随所に顕れていました。
 日記を読み始めるまでの香恵の葛藤、徐々にはっきりしてくる日記でしか登場しない伊吹先生の輪郭、伊吹先生の気持ちの動向は隆の思いの深さを裏付けてもいた。

 「丁寧な筆」を挙げればキリがないが、若草小学校を訪ねなければ気が済まなくなる香恵の気持ちや、感極まる隆の個展での経緯・・・自分はどれもこれも自然に誘導されていました。

 そして、香恵が暗唱してしまうほど同化した伊吹先生への想いには、著者のこの作品への熱みたいなものを感じました。

 そんな読後感を裏付ける解説が、巻末に注釈されていました。
実のお姉さんのエピソードを読んで、自分が感じた印象に合点がいきました。

 姉への思慕を書く動機にしていたと考えると、伊吹先生と香恵の人格が容易に重なるような気がします。

 亡くなっていた伊吹先生の学生時代を香恵に担わせていた、香恵が過ごした平凡な大学生活・・・恋に悩み友情に悩み、姉が教師になるためのアプローチを香恵に投影していた。

 そんな素朴な著者の希望のような想いが行間にあったような感覚、後から湧き上がってきました。

 映画では、若草小学校にバスに乗ってはるばるたどり着いたような描写だったように記憶している、その演出は思い返すといいものでした。

 隆の謎についても、映画では若草小学校で明かすように設定していた、そして肝心の日記も最後のページを効果的に演出していた。

 原作を読んで、映画の工夫に感心できたし、原作の深い実直な気持ちにも気付けた。

 読み手によっては、他愛のないストーリーに感じたり、作為のある展開に辟易する人もいると思うが、純粋に感動できる要素もあります。

 自分は素直に著者の術中にはまりたい。

 どうもこの原作を読んで、もう一度映画を観たくなってきた。
 そしてこの作家の他の本も読んでみたい、自分の正直な感想はそこに行き着きました。

posted by 雪になあれ at 00:12| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 雫井脩介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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