2008年03月26日

償い 矢口敦子



 償い
 矢口敦子

 31131549.jpg

 久しぶりに手にした小説。
 思ったよりメンタリティな展開で、推理小説を読んでる感覚はなかった。

 登場人物それぞれに十字架を背負わせ、多面的な人間性を描いていて、この本はどこを切ってもメッセージ性が高い。

 誠実に生きているのに、迷いもなく人を殺める動機が浮き上がってくる心理・・・

 読み進むうちに、破滅的な終わり方をするのかなと思っていたけど、そうではなかった。

 初めて読む作家ですが力作に違いなく、自らが持つ命題を書き上げた著者の達成感を感じます。

 否定的に読むと、状況設定は陳腐かも知れないが、著者にはそんな陳腐さは織り込み済みで、手応えのあったに違いない。


 自分はこの本を読んでいて、かつて読んだ仁木悦子を思い出した。

 二人の作家の境遇が重なったからだと思います。
 お二人とも病気を抱えながら執筆し大成、幼い頃から病床にいて社会生活には制限があったはずなのに、健常者の観察眼より優れた作品群を世に送り出しています。

 仁木悦子は既に故人で、作品「猫は知っていた」で第3回江戸川乱歩賞を受賞しています。

 随分前に、仁木作品を読み漁った時期があった。
 作品を検索してみると絶版、とてもシンプルで面白い推理小説だったのを記憶していて、もう普通に読む機会がないのが惜しい。
 
 
 他の矢口作品もいつか読んでみたい、仁木作品も図書館に行く機会があったら探してみたいと思う。 

 
【本の内容】
 36歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。流れ着いた郊外の街で、社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。やがて彼は、かつて自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが…。絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることはあるのか?感動の長篇ミステリ。

【著者情報】
 矢口 敦子(ヤグチ アツコ)
 1953年北海道生まれ。病気のため、小学校五年で通学をやめ、通信教育で大学を卒業する。97年「人形になる」で女流新人賞受賞


posted by 雪になあれ at 23:33| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 矢口敦子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。