2007年10月31日

センセイの鞄 川上弘美



 センセイの鞄
 川上弘美
 新潮社 (ISBN:978-4-10-129235-9)
 発行年月 2007年10月

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 今日の帰りの車中で読み切った本、1週間くらい読んでいたのに膨らまないストーリーに拍子抜けしたまま・・・終わった感じでした。

 なのに途中で放り出すこともなく読み進むことが出来たのは、単に読みやすい文章だったからか、ツキコさんの猥褻な?妄想のおかげか、よく分からない。

 キノコ狩りや雷、月や潮干狩りなどが出てくるのに、季節感を感じない、ツキコさんを取り巻く登場人物・・・ここにも人肌を感じなかった。

 お母さんの湯豆腐や居酒屋の酒肴、孝との接吻やセンセイに触られる胸・・・どれも現実感がない。
 そのつもりで書いているのかどうかはよく分からなかった。

 作者が書きたいことが分からないままでした、そんな理解力のなさがこの小説の面白さを捉えられないのかも知れませんね。

 そんな中でも感じたことは、ツキコさんの気持ちでしょうか。

 倍くらい年の離れた老いらくに恋心を抱くものだろうか?
 普通に恋愛を重ねて37歳で独身、これは同世代の異性はもう恋愛の対象ではなく、そもそも恋愛の対象にはなり得ない『先生』がそうなったのか・・・

 『先生』でも『せんせい』でもなく『センセイ』としたのはもっとも現実から遠くなりそうだし。

 『鞄』だけがずっと『先生』のまま、ツキコさんのもとに残る余韻を図ったのかどうか。

 作者はさりげない日常を書こうとしたのか・・・よく分からないけれども、この作品の雰囲気には作者なりの拘りがあったに違いない。

 少なくとももう1冊はこの作者の本を読んでみたいと思う、芥川賞の『蛇を踏む』か『真鶴』あたりか。

 最後にこの本で最も印象に残ったのは・・・
 紅い蛸の句とうすくひいたくちべにの場面でした。
 滑稽なシーンなようでいて、女性作家らしい感覚でした。

 このシーンを読んでいて、センセイはツキコさんの創造だと思いました、物語全体がツキコさんの創造、それが活きている『鞄』を効果的に読ませて余韻を残した、そんな気がしました。

posted by 雪になあれ at 00:16| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 川上弘美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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