2013年03月05日

ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 読書感想



 ペンギン・ハイウェイ

 webKADOKAWA



 不思議な小説

 いつもの京都が舞台ではない、高台があって海が遠い新興の街

 だけどそこにはペンギンやクジラが現れる

 歯医者があったり、カフェがあったり、冒険する自然がある

 少年には研究があり、ライバルがいて、恋の対象がある

 少年らしい初々しい夏休みがあり、炭酸飲料の缶が誘う不思議がある

 何とも言えない気持ちにさせられる


 誰もが経験した小学校時代の淡い記憶が蘇る

 正しい記憶なのか、夢か現実か今となっては定まらない思い出がある少年時代・・・そんな自分の経験が重なってくる体験をアオヤ君が実現しようとしていて、彼を応援したくなる

 お姉さんの結末は、少年の哀しみであり、成長の標しのような気がしてくる

 この小説の余韻には、気持ちが徐々に熱くなります

 将来、少年が出会う対等の女性がこのお姉さんであってほしいと願ってしまう






posted by 雪になあれ at 22:54| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 森見登美彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月25日

きつねのはなし 森見登美彦



 きつねのはなし
 森見登美彦
 新潮文庫
 発売日 2009/07/01

 129052.jpg 

 1週間くらい前に読み終わってましたが、感想を書く暇がなく印象が薄れてきていますが、記事にしておきたい本です。

 読み出してすぐ感じたのは、森美作品特有のややこしい言い回しがなかったこと、斬新でした。
 表題作をはじめ4作品が収録されている、「芳連堂」という古道具屋が鍵を握る連作中編集なんですが、どの話も独立して楽しめる。

 自分としては、表題作「きつねのはなし」が秀逸だと思いました。
 これまでの森美作品とは一線を画す趣向ですが、一番良かったかも知れない・・・比較しずらい新しい一面を見せられた作品です。
 この不思議感を醸し出すには、いつもの文体では成り立たない。

 この「きつねのはなし」は、直木賞を受賞してもいいくらいの出来、当時候補に挙がったのかどうか?
 森見さんには、こんな感覚の本もどんどん書いて欲しい。

posted by 雪になあれ at 17:58| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 森見登美彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月11日

四畳半神話大系 森見登美彦



 四畳半神話大系
 森見登美彦
 角川書店 (ISBN:978-4-04-387801-7)
 発行年月 2008年03月

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 久しぶりの森美作品。
 相変わらずの文体に笑えた。

 作品としては初期に分類されるか、『夜は短し・・・』に登場する人物は既にこの小説の中で活躍していました。

 『四畳半』を大学生活の中心に据えて展開させるパラレルワールド、狭い世界観を暗示させているんだろうけど、逆説的に『広がり』を感じるのは、著者が仕掛けたことでしょう。

 魚肉ソーセージや猫ラーメン、闇鍋など亜流な食事も生活感のない雰囲気を補強していて、『神話』化を支えているように読めました。

 4つの話には、同じ展開が引用されていて、過程に差異はあっても同じ雰囲気に収束しているようで、大学生活の奔放さは、どう転んでも楽しく華やかで哀しいからか・・・

 それにしても独特の言い回しには、電車の中で吹き出しそうになるので危ない、『無駄な布石を狙い澄まして打ちまくる』にはまいった、可笑しすぎる。

 貧しさを連想する四畳半なのか、自由な一人暮らしを連想する四畳半なのか、いずれにしても味のある四畳半の中で妄想と現実を掻き(書き)混ぜていました。

 生活感など無縁な個性的な登場人物たちは、これまた合理性など全くない行動を取る、友情をちらつかせると思えばあっさり裏切ったりする。

 他愛のない仲間たちとのやり取りは、当人たちにはなかなか深刻で、彼らの大学生活の全てだったりする、ところが読者は、その狭苦しい感情の軋轢が楽しい。

 唯一の友人『小津』との二人芝居『みそぎ』、そんなパラレルワールドもあって、とんでもない友人のはずなのに70日ぶりの彼の顔に懐かしさがこみ上げてくる。

 それぞれの物語の最後を飾る『小津』と『私』の役割を最終話で入れ替えて終わろうとする。

 『社会的有為の人材になるための布石をことごとくはずし、・・・打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきた』著者の楽しい大学生活の集大成です。

 読者は楽しいだけでなく、闇鍋を囲んだり、宗教団体サークルからの脱走に憧れてしまう、自分としてはそんな京都の非日常がこの本の魅力でした。

 著者がどこまで謀ったか分からないが、とても魅力のある小説に仕上がっている。

 恐らく自分には気付かないこの本の奥ゆかしさがもっとあるに違いない、久しぶりに楽しい読書になった。

posted by 雪になあれ at 00:09| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 森見登美彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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