2006年09月27日

夜のピクニック



 夜のピクニック
 恩田陸
 2004年7月新潮社刊
 2006年9月新潮文庫

 本屋大賞というからには読まないわけにはいかない、それも映画公開前に・・・どうにかギリギリ読み終えました。

 自分は読むのが遅いため3日くらいかかってしまいましたが、この本は一気に読むべき本だと思った。

 融と貴子の秘密を中心に描かれるこの小説は紛れもなく若い純粋な気持ちを題材にしたもので、読む者は共感させられる。

 『歩行祭』を持ち出さなくても、十分その登場人物たちの個性があれば、高校生活の日常だけで『読める』と思ったが、ふたり(融と貴子)の悪意もない、打算もない尊い気持ちを語るのにピッタリな背景だと、読み進むほど、そう思えてきた。

 『歩行祭』に登場する『』や『坂道』などは、誰もが打算もない時代に見てきた代物で、『懐かしさ』を思い出させるのに十分過ぎるアイテムでした。

 そして、この小説の芯にある『融と貴子の秘密』や『ノスタルジーな風景』に勝るとも劣らず、その登場人物たちの魅力は素晴らしいと思う。

 古風で純情で不器用な主役のふたりの対比としてあるのかもしれないが、積極的で機転が利き、割り切りが良く現代的な友人たち、ただその友人たちには思いやりがある。

 亮子も全くの悪人に仕上げない著者の気持ちが理解できて後味もいい。

 登場人物皆に共通しているのは、輝かしい未来があるということ、この部分は読者としては羨ましい限りだけど、その要素がまた微笑ましい読後感に拍車をかけてると思う。

 その未来というのは登場人物が若いからだけではない、この小説から読まされた彼らの思いやりのある人柄があるからだと思う。

 終盤、どんな風に話を閉じるのか非常に興味が湧いてました、想像も出来なかった終わり方に最初は物足りなさもあったが、これは著者が最初から決めていたことかもしれない。

 ゴールに向うには坂道を登らなければいけない、その坂道の上から主役である貴子ではない人物の視点で語らせるわけです。
 
 坂道の上から見たゴールする仲間たちの様子・・・子供のように手をつなぐ四人がいて、姉が好きだった男はやけに爽やかでにこにこしている・・・坂道の上の視点の主が嬉しくなって一目散に駆けてゆくほど、貴子と美和子の顔がパッと輝いている。

 彼らの様子から、後日談を容易に想像できて読後感がとてもいい。
 これはまさに著者の術中にはまってるような気がするが、素直に心地よくされたいと思った。

 そして、夜のピクニックは著者の高校時代に少なからずあった経験かもしれない、と感じるのが自然だと思う。

 是非、映画も観てみたいと思う。

posted by 雪になあれ at 23:57| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 恩田陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

麦の海に沈む果実

 恩田陸さんらしい展開、『六番目の小夜子』から入った恩田ワールド、『ネバーランド』→『ライオンハート』と読んで、人気トップの『麦に海に沈む果実』に辿り着いたって感じ。
 
 通勤電車の中でしか読書する習慣ないので、読破に半月かかった。

 初めて読んだ、『六番目の小夜子』以上にマニアックな内容、逃げられない閉塞感を煽るような展開、追いつめられた終盤の碁石の心理ゲームあたりの描写は、恩田陸さん独特の雰囲気。

 主人公『理瀬』の不安定な記憶(情緒)、そして怪しい周囲の登場人物の理瀬への絡み・・・、どれとっても読ませるが、不可思議さを幾重にも重ねていく前半の長回しの割に謎解きがあっさりって印象でした。

 雰囲気で読ませるのが恩田陸さんのですが、この本を理解するのは自分は歳とりすぎてる感覚。
 やはり最初に読んだ『六番目の小夜子』が自分にとっては恩田ワールド1位。

 次は、『麦の海に・・・』と一緒に手に入れた『三月は深き紅の淵を』。
 読む順序が逆だったらお粗末だけど、どうだろう。

 この2冊を読んで話の全体が見えるのか、楽しみに読み進んでみよう。



posted by 雪になあれ at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 恩田陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月15日

ライオンハート

 今日は正月以来のスキー、と気合入れて目覚まし4時半にセットしたのに10時起床。

lionheart.jpg そんなわけで読みかけの恩田陸さんの『ライオンハート』読みました、恩田陸さんの著作は『六番目の小夜子』、『ネバーランド』と読んで3冊目。

 前2冊とは趣きの違う感覚でした、自分としては追い詰められるような前2冊の雰囲気の方が好きかもしれない。

 でも今回の『ライオンハート』はスケールの大きさ、史実に絡ませた趣向、そしてこのストーリーを象徴するようなラスト、女性的な感性だと思う。

 何のジャンルか忘れましたが、2005年の本のランキングで1位という記事見かけて読み始めました、女性の支持が多そうですね。
 
 恩田陸さんは第134回直木賞(平成17下期)の候補に上っています、『蒲公英草紙』で。
 これまでの実績からすると今回受賞しそうな気がする、あさっての発表注目してみよう。

 『ライオンハート』読んでて、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』連想してました、『嵐が丘』の話はほとんど覚えてなくてあらすじも違うはずなのに一途な気持ちが通じてるからなのか。

 まだほとんど恩田陸さんの著作読んでないので、少しずつ読み進めてみよう。
 本屋大賞の『夜のピクニック』もあるし、楽しめそうだ。
posted by 雪になあれ at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 恩田陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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