2006年12月26日

風の歌を聴け 村上春樹



 風の歌を聴け
 ウィキペディア記事
 村上春樹著 講談社 第22回群像新人文学賞受賞
 1979年7月25日初刷
 初出 群像1979年6月号


 久しぶりに村上春樹氏の小説を読んでみて、これがデビュー作とは凄いと感じました。

 解りやすそうでいて掴み所のないような文体でした、僕を中心にいくつもの挿話で構成しながら、本筋を外していないような感覚、どの挿話も同じ目的に向っているような感覚・・・です。

 指を欠いてしまった女の子との会話、病気の女の子がしたためた手紙は印象的で、『聴かなければ』ならない『』のヒントが隠されてるような気がする。

 ガールフレンドが言い放つ『嘘つき!』や鼠が真剣に言った『嘘だと言ってくれないか?』あたりの会話はよく読む必要がありそう。

 重なり合うように綴られている挿話たち、突き詰めると同じ心理的な『』を書いてると思うのに、自分の器量ではよく理解できませんでした。

 最後にもってきた作家ハートフィールドの墓を訪ねる描写ではそれまでの心理的な『』とは違う自然な『』を感じたりしました。

 この小説・・・小川洋子さんの『ミーナの行進』に登場する図書館に隣接する公園が出てくるということで、何年ぶりかで再読しました。

 想像できました、病床にいる女の子の手紙にしたためられた港や風の香り、僕が生まれ育った『前に海、後ろに山、隣には巨大な港町があるほんの小さな街』・・・(ここはやはり芦屋市)

 『風の歌』が示唆していること・・・漠然としていて月並みな解釈かもしれないと思うけれども自分はこう感じました。

 やはり『』は、人が持つ気持ちはそれぞれ違うということ、思想や主義や主張、生き方や死に方、夢を持とうが持つまいが各人の自由、他人が他人の生き方や主張を決めることは出来ず束縛も出来ない・・・

 そして、そんな観念的な側面を書きながら、著者自身が気に入っている海と山に囲まれた『5年後にも殆んど変わることのない』生まれ育った街に吹いていた『』を書いている・・・これは思い出を包んでいる『』であって、思い出と同義だと思う。

 いずれにしても居心地のいい文章でした。

posted by 雪になあれ at 00:11| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 村上春樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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