2013年11月20日

八月の舟 樋口有介 読書感想



 こういう話で最後まで読ませる作品はそうはない

 この雰囲気は何でしょう

 とにかく自分の意思に実直に生きる登場人物の潔さみたいなものがいい

 それぞれの気持ちを機敏に感じ取ることが出来、受け入れ、それぞれの未来に向けて歩みだす

 主人公の母、自分のその後を託しながら、子供の自由を支援するすような幕の引き方、それは子供たちの性質を十分に配慮したものとして・・・です

 何とも心憎い


 舞台はいつもの夏休み

 高校生同士の交流は瑞々しく読み心地もいい

 こういうストーリーの読後感まで見通せるものでしょうか?

 こんな些細な日常が、ひと夏の風物詩のように描ききれる作者の懐にある世界観は計り知れない

 読んで良かった作品がまたひとつ

 次はどの作品にしようか


 文春文庫 八月の舟
 http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167531065





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2013年11月11日

ぼくと、ぼくらの夏 樋口有介 読書感想



 読んで良かった

 そう思える作品でした

 樋口有介作品は3作目

 これまで読んだ「風少女」、「林檎の木の道」同様の青春小説で、その完成度は抜群でした

 この作品がデビュー作ということですが、既に完成していますね

 作者のプロフィールを見てみると、大学を中退して世界各地を放浪、純文学を当初書いていた、とありました

 これだけのデビュー作を書くだけの下地はそこにあったことを知り納得です

 とにかく読んでいて楽しい

 高校生活の同級生同士が巻き込まれる事件

 その謎解きに取り組むカップル、その二人のテンポの良い会話 

 今回は、味のある脇役もいましたね

 主人公春一の刑事である父親、そして麻子の父親の組の者、秀さん

 若い二人と彼らの掛け合いは読んでいて楽しい

 こんな小説の楽しみ方もあることを再認識、赤川二郎作品のテンポにも通じるがさらに楽しい

 笑いあり、涙あり、の小説を挙げるとしたら、この作品は頂点にありそうです

 そして青春時代の甘酸っぱい雰囲気も良く書けています

 聞き込みに回る二人の行動力、連絡を取り合う二人の呼吸

 春一と麻子がスクーターで移動する描写、春一は大型バイクも所有していて、麻子とタンデムするシーンも楽しい

 どれをとっても初々しさがあって、読む側も描かれたこの夏の世界観に浸れます

 とにかくこの作者の書いている世界観は独特です

 物語の事件を読みながら、登場人物たちの青春像も読んでいる、そんな魅力ある作品でした

 また読んでみたい作家です


 ぼくと、ぼくらの夏 文春文庫
 http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167531058





posted by 雪になあれ at 21:58| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 樋口有介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月23日

林檎の木の道 樋口有介 読書感想



 この作者の本は二冊目

 風少女に続けて読む

 高校時代の危うい感性が主題となる構成は共通している

 登場人物たちの会話を主体に話を進めていく方法が、より青春っぽく感じる

 会話のテンポもよくて、とにかく作者特有の世界観がある

 夏休みの高校生に起こる異性との事件

 大人の世界に巻き込まれる展開はその危うさをさらに強調している

 気だるい高校時代の夏休み、大人になって思い出すと何とも言えない懐かしさがある

 とにかく小説でそんな雰囲気を味わえるのは、自分のような中年には心地よい

 前作と同様、動機とかトリックは月並み、そして真犯人は放置する

 ただ作者にはそんなことはどうでもよく、書きたいことは高校生彼らの気持ちとその世界観

 作者の描くこの世界観に心動かされますね

 またこの世界観に浸りたくて次の著作を読みたくなる

 そういう読者が多いに違いない

 次は何を読もう?


 東京創元社
 林檎の木の道
 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488459062










posted by 雪になあれ at 22:35| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 樋口有介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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