2012年10月29日

神様のカルテ3 夏川草介 読書感想



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 巻が進むごとに、より洗練された物語に仕上がっているような気がします

 出来すぎとも言えますが、読んで楽しめる、益々ハルと一止に感情移入してしまう

 登場人物皆、一生懸命で、信州の自然の中で個々が自分の「正義」と格闘してる

 外村、東西、水無、そして小幡の「怒り」や「思いやり」が示唆されているようで

 その存在感は増すばかり、何とも言えない感動を覚える 

 看護師、東西の抱えている物語や一止の同僚医師、小幡の信念にも圧倒されます

 作者は印象に残るこれらストーリーを積み上げていて、本巻も重厚に仕上がっていました

 信州のその土地の行事や景色、季節感を織り交ぜながら語られる展開は、読後感も非常に良い


 自分のお気に入りとして、ハルとの会話もある

 何とも堅い語り口調は、ふたりの信頼感を暗示している

 3巻まで読むと、自然に読めている


 砂山と一止は新しい道に進もうとしていて、物語は広がり希望が膨らんでいくようです

 とにかく皆の姿勢が潔くて清々しい、信州の清らかな空気感そのもの


 今回の仕上がりを引き締めたのは、東西が送った草枕、そして大狸先生の粋な計らい

 一止が進路を一新する船出に相応しい心憎い演出でした


 まだまだ物語は続くでしょう、続編を楽しみに待ちたい

 何だか雪の信州が待ち遠しくなってきました




posted by 雪になあれ at 22:58| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏川草介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

神様のカルテ2 夏川草介 読書感想



 神様のカルテ2
 夏川草介
 小学館




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 映画、原作と読んできて、その続きを読みたくなりました

 続編って難しいような気がしますが

 構想がよく練られていたと言うか

 今回も作者の経験から紡ぎ出された詩のような物語でした

 前作よりも信州の自然に溶け込んでいます


 イチとハルの山の話題で始まり(プロローグ)、閉じられている(エピローグ)こともありますが、

 登場する患者たちが、信州で生まれ育ち、

 最期をその自然のなかに見出されるような構成にしてあるから


 そんな効果を導き出した著者自身が信州人となり

 自然の中に生活があるから成せる業なのか


 今作の魅力は

 患者たちが迎える最期での人生の終い方はもちろんですが

 イチの学生時代から続く物語や 

 前作にはなかった、イチの具体的な発言(主張)にあります

 大狸や古狐の医師になった動機が語られたり


 老夫婦の形や最期を迎える医師の責任感に

 感動されられたかと思うと

 救急医療、地域医療に携わる医師たちの

 苦悩も前作以上に掘り下げられていて

 作者が一環して訴えている意志が読み取れるようです


 そして読む動機のひとつのなっている

 イチとハルが夫婦の形を模索している様子は

 とても微笑ましい


 その絆を深めるのに信州の山々が寄与している描写は

 小説冥利に尽きる気がします


 イチとハルは、先輩夫婦や同僚夫婦の絆に触れ

 精神的にも登山をし続けている

 そんな読まされ方をしているような気がします


 表題となっている「神様」のカルテ

 映画では、患者安曇が探し当てる神様(医師、イチ)がいました

 もうひとつの神様、それは人の寿命を決める神様です

 イチが医師の無力を感じながらも
 
 神様が決める寿命の手助けをする医師の使命に奔走する

 そんな医師の使命を全うする大狸や古狐 

 支える細君たち

 そして神様のカルテ実現を補佐する看護師 


 そんな魅力的な登場人物たちは、

 丁寧に書き込まれていて感情移入し易い

 彼(女)らの、どの主張にも頷かされ

 それぞれが考えている「カルテ」があることにも

 気付かされます


 この小説

 まだまだ各人の展開に興味が尽きない

 大狸の細君はまだ登場していないようだし

 進藤夫婦と夏菜のその後も気になる

 御岳荘の住人にも


 そして何と言ってもイチとハルの未来

 ふたりは今何合目あたりを登っているのか

 登頂までの、その続きを読みたいものです

 続編の登場を待ちたい





posted by 雪になあれ at 22:30| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏川草介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

神様のカルテ 夏川草介



 神様のカルテ
 夏川草介
 小学館


 kamisamanokarute.jpg



 映画を観て良かったので原作を読んでみました

 映画は原作を丁寧になぞっているのが分かりました

 数々のちょっとしたエピソードを映像化しています

 漱石かぶれの考え方や文語調の語りは小説で読まされるとまた面白い

 
 やはり活字のいいところは

 じっくり人物描写や背景が書き込まれているところ


 映画にはなかった患者、安曇を看取る謎の男や

 「神様のカルテ」の解釈には、小説の良さを実感しました


 イチとハルの呼吸も良く、全編に渡って信州の空気感も感じ取れる

 仕上がりに満足 


 昨年度、本屋大賞で2位になった作品、これより面白い作品があったとは


 続編もあるのが、また嬉しい

 是非、「2」も読んでみたい




posted by 雪になあれ at 22:56| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏川草介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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