2007年02月20日

物語の役割 小川洋子



 物語の役割
 小川洋子著
 ちくまプリマー新書
 2007年2月10日初版

070215003.jpg

 3部構成の講演集。
 三鷹市三鷹芸術文化センター(第一部
 京都造形芸術大学(第二部
 芦屋市ルナ・ホール(第三部

 各講演で共通しているのは、小川洋子さんにとって印象に残る本や見聞してきた物語を引用して、『小説』に対する考え方や姿勢を語っていること。

第一部
 第一部では『博士の愛した数式』が誕生するまでの過程に触れていて非常に面白い。

 この本を著すのに数学者・藤原正彦氏を取材した話は有名、小川洋子さんが数字(数学)に対して持っていた印象(偏見でもいいかもしれない)が徐々に融解していくきっかけとプロセスを述べている。

 映画となった『博士・・・』での友愛数のくだりは、原作同様に印象深かった。
 この友愛数こそ、小川洋子さんがこの小説を書く決定的な後押しをしていたことが書かれていました。

 なるほどそうだったのか、って感じ。
 友愛数のシーンは非常に良かったのを憶えている。

 もうひとつ重要なことが・・・なぜ博士の相方が家政婦さんだったのか?
 家政婦の持つ距離感、慎み深さを挙げていました。

 そう言えば、映画の中で博士が数学の問題を考えているとき、食べ物の好き嫌いを訪ねる家政婦に『数学と会話してるのにズケズケと入り込んでくる君(家政婦)は失敬だ』というセリフがあった。


第二部
 この講演は大学時代の文芸科の話から始まっています。
 そしていつも感じていた小川洋子さんの作風を自ら端的に示す言葉があって、少しビックリしました。

 こうです。
私は、自分の小説の中に登場してくる人物たちは皆死者だなと感じています。だから、小説を書いていると死んだ人と会話しているような気持ちになります。それは、・・・非常になつかしい感じです。

 著者はホロコースト文学を読み続けているらしく、この本の随所に登場してきます。
 それだけホロコーストは、著者にとって影響が大きく『』を意識させている。

 もうひとつあります。
もはや名前もわからなくなった人々を死者の世界に探しに行くこと、文学とはこれにつきるのかもしれない

 この言葉は、ホロコーストの犠牲となった少女を追ったノンフィクション作品から、引用したものです。
 フランス人作家が著したとされていました。 

 著者は、モノ造りに携わる芸術大学の学生に対して、自身の小説に向かう姿勢を、こんな言葉で話したんですね。
 
 そして、この言葉を、『書くことに行く詰まった時、しばしば読み返します』と結んでいました。


第三部
 芦屋市での講演会です。

 昨年11月24日に『ミーナの行進』で谷崎賞を受賞したことから、小川洋子さんの地元である芦屋市で講演会となったものです。

 この講演会の様子は、自分がリンクさせてもらっている蘇芳色さんがブログに書かれていて非常に興味深いです。

 蘇芳色さんのブログ記事↓
 http://plaza.rakuten.co.jp/suouiro/diary/200611240000/


 そして、この芦屋での講演会では小川洋子さんにとって最も印象に残っている、もしくは小川洋子さんを作家の道に進ませるきっかけとなった本が挙げられていました。

 その中でも『アンネの日記』は、『決定的な本』と述べられていました。

 そこから続く講演は、アンネフランクの生きた意味、そして彼女は背負った使命を見事に果たしたと述べていました。

 そして最後の最後、読者(ファン)にとっては嬉しくなる言葉で結んでいます。

 小川洋子さんは、まだまだ書き続けてくれる・・・そんな余韻の残る結び方です。

 最後の言葉は、ここには挙げないでおきます。

 是非、小川作品が好きな読者には読んで欲しい、この3回に渡る講演はどこか繋がっていて、著者の気持ちの流れを感じることが出来ます。

 著者の小説同様、とても心地いい文章でした。

 やはり著者は講演のたびに行き当たりばったりではなく、過去の講演を踏まえて原稿作りをしているんですね。

 小川洋子さんという人は、常に読者への気配りを忘れない素晴らしい作家なんだと改めて感じることが出来た。


 筑摩書房:『物語の役割』特集ページ
 http://www.chikumashobo.co.jp/special/monogatari/

 筑摩書房:2007年2月6日付けお知らせ
 小川洋子さんにフランスから勲章が授与されました
 http://www.chikumashobo.co.jp/news/20070206/

posted by 雪になあれ at 21:49| 埼玉 ☔| Comment(16) | TrackBack(3) | エッセイ−小川洋子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。小川洋子さんの世界観がはっきり浮かび上がってくる一冊でした。共感する部分がいつもながら多い一方で、「死」についての小川さんの感覚や思考は私から見ると相当深くて、相変わらず掬い取りきれない自分がいます。

でも、その「死」が圧倒的に小川さんの作品のキーなのですね。「死んだ人と会話するような気持ち」で小説を生み出してらっしゃるのですから。・・だから彼女の作品はあんなに静謐としているのでしょうか。

・・長文失礼しました。小川さんについてのお話や情報が満載で、つい嬉しくなって感じていたことを書き付けてしまいました。また寄らせていただきます。
Posted by しずか at 2007年02月24日 23:41
しずかさんへ

コメントありがとうございます。
自分は、まだ小川洋子さんを意識するようになって1年くらいで、このブログの中で整理整頓してるところなんです。

小川洋子さんの死に対する考えには、自分も追いつけません、とてもじゃないと思います。
この本の中でもホロコースト文学についての記述がありましたね。
著者は、アンネの日記に触れてからずっとホロコーストについて考え続けていて凄いと思います。

しずかさんも小川洋子さんファンなんですね、また感想や意見など寄せてください。
運営されてるようならブログアドレスも教えてください、寄らせていただきます・・・
Posted by 雪になあれ at 2007年02月25日 02:10
そうなんです、私も小川洋子さんのファンです。小川さん関連の情報や書評がまとまったサイトがあればいいなーと常々考えてました。で、こうなったら自分で作るしか・・と思ったりしつつ、時が経つばかりで。ですので、雪になあれさんのサイトは楽しみに読ませていただきます。

小川さんにゆかりの土地を訪れる計画を経ててらっしゃるのですね! それも、ふっと私の頭にも浮かんでいました。いつか・・と。行く先々で、小説のいろんな場面が浮かんできそうですね?

私のブログは、まとまりがかなりなくてお恥ずかしいです(苦笑) bbsもしばらく閉鎖していますし。でも、ご挨拶がわりに一応URLを書いておきます。
Posted by しずか at 2007年02月26日 21:53
しずかさんへ
ブログ拝見しました。
昨年11月にあった小川洋子さんのサイン会行かれたんですね。
しかもその様子をまとめられていて、しずかさんは相当な小川洋子ファンなんですね。。
自分が気づいた時にはサイン会は過ぎてました。
自分の小川洋子さんに関するHPはスキルが足りなくて、辛うじてアップしたところなんです。
なかなか勉強も進まなくて、ファンサイト作るのが夢なんですが、いつになるか自分でも???です(笑)
しずかさんのブログにTBやコメント入れたかったですが、今は閉鎖中なんですね。
確かに今は関係ないTBなど多いですからね。
小川作品の記事など、また読ませていただきます、出来ればコメント書き込みたいですね。
それから、このブログにリンクさせていただいてもいいでしょうか?
Posted by 雪になあれ at 2007年02月27日 02:21
サイン会は本当に偶然に知って、行きました。何日も前からドキドキワクワクしている自分がいて、自分にとっての小川さんの存在の特別さに改めて気づきました・・。
サイン会もそうですし、この頃多い新刊情報を逃してしまうことに、私もジレンマを感じ、小川さんについての最新情報のわかるサイトがあれば・・と思っていたところです。「小川洋子対話集」発刊は、雪になあれさんのサイトで知ったのです。ありがとうございました^^

ファンサイト、あるといいですよねー。もっと小川さんについてお話しできる場があれば。実は、小川さんご自身も、サイン会は生で読者と触れる機会で楽しみにされていると読んだことがあったので、ファンサイトを読んでくださることもあればなぁなんて思ったりもしていました。

ブログへのリンク、どうぞどうぞ〜。ほんと、まとまりなくとりとめもなく書き付けてるだけなのですけれど。ちょっと関係ないコメントやTBを削除するのが面倒になってきて、コメント不可に設定しています。もうしばらくしたら、解除するかも知れません・・
Posted by しずか at 2007年02月27日 22:04
しずかさんへ
早速サイン会の記事をリンクさせていただきました、ありがとうございます。
このサイン会を記事にされてる方を当時検索していて、しずかさんの記事にたどり着いていたような気がしてきました。
コメントが受け付けられていなかったのでリンクさせていただくのを諦めたような記憶があります。
少し他の記事も読ませていただきました、渋谷ユーロスペースへ封切日に『薬指の標本』を観に行かれたんですね。
映画は不評だったようですが・・・自分は男だからかなあ(汗)、かなり良かったです(笑)。
いずれにしても小川洋子さんを追ってる時間は自分よりずっと長いですね、しかも本人に会っているわけですから羨ましいです。
そしてサイン会は4割近くが男性とは驚き、意外と男性ファンって多いんですかね。
自分が小川洋子さんでブログ検索すると、9割以上女性なんですけど、男性は小川洋子さんを記事にするのは躊躇するものなのか、なんて思ったりしました。
Posted by 雪になあれ at 2007年02月28日 00:34
リンクありがとうございました。・・というか、もちょっとまともに書いておけばよかったかなーと思ったりします。個人的な印象ですけど、少し付け加えたいところがあるので、後日加筆するつもりです。

また、サイン会あるといいですね。芦屋でしたか、「ミーナの行進」出版の際もサイン会があったようだったので、また新刊が出れば・・! 月刊カドカワに連載していた作品もありますよね・・

映画「薬指の標本」、すみません、好き放題書いてしまいました! そうですか、雪になあれさんは気に入られましたか。官能的な部分がよいでしょうか? ごめんなさい、雪になあれさんが男性の方とは気づかず、そうであればなおさら聞いてみたくなってしまいました。異性の方にはどんな風に映るのかな・・と。こちらのブログに書かれてますよね、きっと。感想を。探してみます。

そうなんです、サイン会にはけっこう男性の方もいました。雪になあれさんが「男性は小川洋子さんを記事にするのは躊躇するものなのか」と思われるのも、なんとなくわかる気がします。決してメルヘンチックではないんだけれど、やはり「物語」だから・・うーん、そこで性別は関係ないのでしょうか。やはり個性でしょうか・・

いつも長文すみません。
Posted by しずか at 2007年02月28日 23:38
しずかさんへ
長文歓迎ですからご安心を(笑)
月刊カドカワに連載してるんですか?
知りませんでした、それは楽しみです。

薬指の標本の監督さんは小川作品を結構読んでいる節があるようです。
主人公の名前イリスは『ホテルアイリス』から取っているのかもしれないと指摘されてる記事をある方のブログで読んで驚いたことがありました。

この映画は自分はとても良かったですね、確かにイリス役の女性は綺麗で加点要素ですかね(男なのでご容赦ください(またまた汗))。
ただ性的な描写は行き過ぎだと思ってました(うーん苦しい言い訳か)
ちなみに自分の映画の感想はココです。
2回目
http://tadenoumi2.seesaa.net/article/26372130.html
1回目
http://tadenoumi2.seesaa.net/article/24640137.html
当時2回も観てしまいました。

それからしずかさんがブックマークしている蜜白玉さんですか、ジュンク堂池袋店のサイン会の記事に小川洋子さんの凄い言葉がありますね。
一番気に入っている本が『シュガータイム』だと答えています。
文庫本あとがきに小川洋子さんの並々ならぬ決意のような言葉があったのを思い出しました。

シュガータイムも自分は相当気に入っている作品で、著者が小説を書き進む確信を得た作品なんだと思ってます、恐らく妊娠カレンダーよりも・・・

リンクさせていただいたサイン会の記事、小川洋子さんはじめ、しずかさん、照れ笑いする男性、みんなの誠実さが伝わってきていいです。
Posted by 雪になあれ at 2007年03月01日 01:03
こんばんは。早速ですが、すみません、連載は「カドカワ」ではなくて「野生時代」でした(一応、角川書店つながりで・・・)。タイトルは『再試合』かな。野球絡みの小説のようでした。今店頭に並んでる号で最終回で。

映画『薬指の標本』の感想リンク、ありがとうございました。やっぱり複数回観た方が詳細の意味づけなんかにも気づいて、印象も変わってくるかも知れませんね。理解も深そう。私のもった印象は、TBされている「COZY COSY」さんの場合と似ているようです。クールさ・・距離感が足りないというか。
やっぱり小説の印象と比べてしまうなー。でも映像や小物使い、港や船員との関係など、詳細はよくできていたと思います。じっとりと汗ばむ温度感とか・・
それから、イリス役の女優さんは私にも印象よかったです(笑

並々ならぬ決意ですか・・確かにあとがきにそういった言葉がありますね。『シュガータイム』、読み返してみようかな。私には『妊娠カレンダー』の印象が強烈で。雪になあれさんは小川さんの作品を読破されているようですね。それだけに考察も興味深いです。私は読んでから時間が経って記憶が曖昧な作品、読みかけて終えてない本や、読んでない本もあるんです。その割にはミーハーで(笑

サイン会の記事のこと、印象が悪くなかったようで嬉しいです。実はまさかメインページにリンクされるとは思わず、それこそ(汗)です(笑 

小川さんって言葉にならないことを見つめている方だから、やっぱり職業柄、繊細さが研ぎ澄まされて神経質な感じもある方かな、などと想像していたんですけど、実際はなんて明るい印象の方だろうと思いました。講演会の記事の蘇芳色さんも似たような印象を書かれてますけど、いい意味で庶民的な雰囲気を失っていないという・・

できれば少人数のトークショーなんて、あるといいんですけどねー。

Posted by しずか at 2007年03月03日 23:26
しずかさんへ
野球絡みですか、今月号が最終話なら年内には単行本になりそうですね。
楽しみに待ちます。
小川洋子さんにとって野球は特別ですから・・・

自分の持っている小川洋子さんへの印象はこんな感じです。
小川洋子さんの小説を書く姿勢は非常に謙虚で、いつもアンネフランクの代わりに書いている・・・若しくはアンネならどう書くだろうという意識の中にいると思われます。

芥川賞を受賞するまでの作品群は、小川洋子さんが唯一小説の技巧を駆使することを意識したものです、どうしてもメジャーにならなければならなかったからだと思います。
メジャーになるには文学賞を受賞しなければならない、自然に芥川賞の対象になることを目指したんでしょう。

アンネフランクの夢が、将来はジャーナリストになり著名な作家になること、だったから。
小川洋子さんはどうしてもアンネになり代わって自分が・・・という決意があったんでしょうね。

そんなしがらみから離れて初めて書いた小説がシュガータイムのような気がします、作家としての確信を得た作品、それがあのあとがきに繋がっているのかな、と。
ただシュガータイムには、著者の謎解きが隠れているようで、読んだとき少し考えさせられたのを憶えています。

先日初めてオアゾ行ってみました。
イベントスペース前に丸善の文具屋さんがありショーケースに万年筆があったのを見て、ハッとしました。
サイン会の記事に出てくる『銀色の万年筆』・・・これも印象深いですね。
Posted by 雪になあれ at 2007年03月04日 01:40
雪になあれさんは、小川さんの作家としての動機にそこまでアンネが係わっていると考察してらっしゃるのですね。

小川さんの一連の作品、そしてアンネ関連の本も数冊読まれて、確信といえるところまでいっているのでしょうか。

確かに小川さんはエッセイや講演でアンネのこと、ホロコーストのことを繰り返し挙げています。しつこいと言われても言いますけど・・というほどに。

小川さんの作品では、周知のとおり「記憶」が繰り返し語られています。私の興味は特にその点にあります。で、記憶をたどる、記憶に執着する、ということは、過去を見つめるということにつながりますね。その動機もやはり、アンネにつながっているのでしょうか・・・

ホロコーストについて「ショア」という映画を観た頃、自分も考え、ポーランドを訪れてみたいと思っていました。「アンネの日記」は、青春時代に読んで以来読んでいません。やはり常に心のどこかでこの出来事を留意しているのには、何かしら精神的礎がなければ重みに耐えられないんじゃないかと思います。

私の場合、前述したように、小川さんの作品を俯瞰できるような読み方をしていないのですが(改めて、出版順に読んでみたいとは思ってますが)、題材を含め技巧を意識して書かれた印象をもつ作品を経て、近年はごく書きたいことを書かれているように見受けます。それでも、編集者の意向とか、多少なりの(ある意味の)制限はあるのでしょうが・・・

『シュガータイム』の「著者の謎解き」、なんだろう、興味があります。

オアゾの文芸フロアって、新刊やお勧め本が壁に表紙が見える形で並べられていて、気に入っています。万年筆については、物書きの方の道具のひとつとして特別なもので、私もやっぱり気になりました。
Posted by しずか at 2007年03月04日 22:43
しずかさんへ
小川さんの作家としての動機・・・そうなんです、自分は少なくとも1994年アンネフランクを訪ねる旅以降の作品には、その影響が大きいと思っています。
その書く手法は読み替えないと理解できないような表現が多いと思っています。
逆にそれ以前の作品には具体的にホロコーストに関する挿話を登場させています。

指摘されてる、記憶が繰り返し語られる・・・近年はごく書きたいことを書かれている・・・その印象には同感です。
そのとおりだと思います。
小川洋子さんの作品を読んできて、著者自身の岐路というか、節目として書いている作品があるような印象です。

まず、芥川賞を取るために書いた妊娠カレンダーと自分を脇において大切な人の物語を書いたシュガータイム。
生意気書くようで恐縮なんですが・・・恐らく著者はシュガータイムの手法に自分の作家としての道を見出したんじゃないかと自分は感じています。
シュガータイムはそのまま読むと自叙伝のような印象を受けますが自分は違うと思っています。

そして何と言ってもアンネフランクの記憶です、このヨーロッパ訪問が小川作品の方向性、思想を決定付けたんじゃないでしょうか。
それまで活字や写真で見聞きしてきたホロコーストを上回るインパクトがあったからだと思います。
著者が高ぶる気持ちを押さえ込みながら、作家としてレポートに徹する姿勢に揺さぶられました。

そして沈黙博物館、ミーナの行進です。
この二つの作品にもある節目を感じて読みました。
自分も順不同で1回読んだだけなので、しかも斜に構えた読み方をしていたので、もう一度最初から素直に読み進めてみたいと考えています。

密やかな結晶も少しずつ喪失していく物語・・・絶滅収容所で少しずつ人間性を奪われていくユダヤの人々なんでしょうね。

オアゾの本屋さんは確かにいいですね、あんな本屋さんで平日午前中あたりにゆっくり本散策したいものです。
Posted by 雪になあれ at 2007年03月06日 01:59
やっぱり全体を見渡しての分析や印象ってのはおもしろいですね。興味深く読ませてもらいました。一つ一つ読んで、積み重ねていくうちに、全体が見えてくるのですよね。

私も読んでない「穴」となっている作品や記憶が曖昧な作品など、読み直して、改めて雪になあれさんの書かれた印象を読み返してみたいなあと思います。

『密やかな結晶』は私の中では特別な作品です。詳細は忘れても、イメージはしっかり残っています。喪失・・・それを記憶に結びつけるのは、「死者は思い出の中に生きていく」といったメッセージが発端なのか・・・それとも、もっと具体的に、ホロコーストの死者一人一人の取り上げられてしまった「生」を描こうという動機からくるのか・・・その辺が今ひとつしっくりこなくて。読み進めて、そんなところが見えてくるといいなと思います。
Posted by しずか at 2007年03月07日 21:53
しずかさんへ
私の小川洋子さんへの感想にこんなに付き合っていただいてありがとうございました。

実は、昨年秋に小川作品を読破したころから考えていることがあります。
それは、アンネの母エーディットは45歳を目前にして亡くなっていて、まさに今の小川洋子さんがその享年に近づいているということなんです。
小川洋子さんはかつてエッセイの中に、いつの間にかアンネの倍以上生きてきてしまった・・・と書いていて、エーディットの享年に近づいた今、エーディットを背景にした小説を書くような気がしてなりません。
どこかに連載してたりするのかもしれませんね・・・

今は神戸方面への旅をこのブログの節目にしようと考えていて、その旅の記事をこのブログの最後にしようか・・・なんて空想してるところです。
まあ、このブログを閉じても小川作品は読まずにはいられないと思いますけどね。

密やかな結晶・・・自分は昨年5月29日に感想書いていました。
読んでみて、またなんと回りくどいこと書いてるのかと思いましたが、こんなことも書き付けてました。
『小川洋子氏のアンネへの想いはどこまでも深い・・・』
その印象はずっと変わらなかったです。
Posted by 雪になあれ at 2007年03月07日 23:59
雪になあれさんの書かれている考察って貴重だと思います。場所はどこであれ、もっと書き残して欲しいものです(と、何気にリクエスト)。ブログを最後に…なんてちょっと残念。でも、雪になあれさんとしては、ある程度完結(というか節目)が近づいているのですね。他に気になる作家さん、いらっしゃいますか?

それにしても、『博士の愛した数式』で知名度も上がり、大学の文学部で小川洋子研究をしている方も増えているかも知れませんが、こういったしっかりとした分析はなかなか読む機会がありません。一作品ごとのレビューは書いても、総括はそう簡単には書けませんもの。

アンネのお母さんを背景にした作品が出るかも…と、予想までされて、ほんと、全体が、しかも詳細まで見えているんだなー、雪になあれさんには…と感心しきりです。そして興味深いですね。

以前も書いたように、アンネの関連は読書してませんが、そういえば、アンネの空想力がアンネにもたらされた環境から彼女を救っている部分がありましたよね。だからこそ、小川さんは「物語」の大切さ、それこそ役割の大きさを実感されているのでしょうか(と、何気にこのスレッドのテーマに戻ってみたり)。

『密やかな結晶』は、自分にとって小川さんについての情報が「芥川賞受賞作家」でしかなかった頃に読みました。だから、まったく収容所のことなど思いもしませんでした。言われてみれば、哀しいほどにそこにつながりますね…。一方でやっぱり私は、あんな哀しい話をあの透明感で書き綴ることができる小川さんの個性や力量に感動し続けているんです。
Posted by しずか at 2007年03月11日 00:36
しずかさんへ
どうもシーサーはTBやコメント機能が調子悪いことが多い印象です。
今は岡山神戸行を機会にブログを刷新しようか・・・なんて考えてるところなんです。
飽きっぽい自分が目的もなく始めたこのブログ、予想外に続いてるのは小川洋子さんのおかげ。
漠然と小川洋子さんの本HPは残したいと思っていて、その感想をこのブログにリンクしてるので、どうしたものか?と思案しています。今は雪山のブログもあるので、二つを統合したブログにしたいとも考えています、雪山記録も残したい。

しずかさんのこのブログへの印象を読ませてもらって・・・ホントに恐縮です、正直嬉しいです(涙、大汗)。
雪があるうちに岡山神戸方面に行きたいと考えていましたが、さすがにこの時期は休めないですね、実は岡山神戸周辺を滑ってみたかった。

小川洋子さんは『妖精が舞い下りる夜』で
『自分の体験を小説にすることは絶対にしないわたし』と書いているのですが、それだけは違う・・・と大胆にも異議あり派なんです(笑)
小川洋子さんが見てきた海、山、街、この目で見てみたい。
特に今住まわれている芦屋市界隈・・・神戸芦屋の街並み、小川洋子さんの中でオランダアムステルダムに通じるものがあったんじゃないかと想像しています。
Posted by 雪になあれ at 2007年03月11日 12:39
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