2012年07月16日

映画「グスコーブドリの伝記」 感想





 映画「グスコーブドリの伝記」


 宮澤賢治記念館−特別企画展−



 宮澤賢治の原作、イーハトーブを舞台にした童話、楽しみにしていました

 ブドリ一家が暮らすイーハトーブの深い森、イントロから童話の入り口が演出されているようでした

 思っていたとおり映像が綺麗で、ブドリたちの生活から彼らの夢や妄想まで、鮮やかな色で表現されていました

 
 以降、ネタバレです





 ブドリが辿り着いたイーハトーブの街並み、深い森の生家からの反転でしょうか、ブドリが活躍する近代的な社会がそこにはあります
 
 冒頭のトマトのスープを囲む団欒があまりにも温かくて、その後は、黒いそばがきを食べるシーンのみで、カラフルな食事のシーンはなかった印象で、飢饉の暗い影に立ち向かうブドリの姿に打たれます

 飢饉が家族を離散させ、実際は亡くなったと思われるが、ここも童話的な手法でブドリがひとりになっていきます、丁寧な展開です

 イーハトーブの深い森から旅立ち、街に降りる途中、棚田が綺麗な山里での生活があって、農業に親しんだ宮澤賢治の生活感と重なりました

 この作品は、宮澤賢治自身の経歴をなぞったような内容です

 地質や農業など沢山の学問を学び、妹の死も経験している
 
 宮澤賢治は妹の死を痛く哀しんでいた記憶があって、アニメの中でも妹が抱えていたぬいぐるみを形見にしていたようで、スタッフの繊細な気遣いを感じました

 ブドリが活躍するイーハトーブの街

 そこは宮崎アニメに匹敵する創造の世界、楽しい乗り物がたくさん

 それから、個人的にはクーボー博士が良かった、奇想天外な人物像に声優が柄本明さん、このマッチングの良さは仕上がり感を良好にしている

 クーボー博士の著作で惹かれ、導かれるように訪ねたイーハトーブの大学で博士に見いだされるブドリ

 幸せな研究生活が実現されていて、宮澤賢治の夢が叶ったようで、火山の研究に取り組む姿は印象に残る

 遠い火山との関わりの中で、ブドリが決断する筋書きには、あの有名な詩が引用されていました

 原作ではどうだったか記憶にないけれども、「雨にも負けず」の詩がこのアニメではキーワード

 結末は宮澤賢治らしい終わり方で、悲哀を含ませた幸せな余韻があります

 宮澤賢治らしい宗教的な側面も感じら、諭された気分です、癒し感もあったり

 派手さはなく全体的に落ち着いたアニメで大人向けだと思います

 宮澤賢治の宇宙観の映像がそこにあるようで、是非、暑い夏の夜、レイトショーで鑑賞してみてはいかがでしょうか

 



posted by 雪になあれ at 00:33| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
原作では妹ネリを連れ去った人物は
ただの人間。
途中で、めんどくさくなってネリをどこかの
農場の前で置き去り。
泣いてるとところを、その農場の家の人に
保護され、子守などしながら働く。成人して
陰日向なく働くのを気に入られその家の
一番上の息子と結婚して,兄とも再会できるんだけど。アニメでは死んでいるのか生きてるのか不明でしたね。
アニメでは、ネリを連れ出した男はこの世ならぬものだったし。
原作でもブドリは死ぬんだけど・・・
アニメでも両親の墓参りのシーン
成人した妹との再会。
そのシーンを描いてほしかったですね。
Posted by ミント at 2012年09月18日 14:31
ミントさんへ
自分は原作を読んだのかどうかも記憶がないんですが、映画脚本は結構オリジナルな部分があったんですね
妹もそうですが、楽しい家族の団らんを取り戻したかった
そんな物哀しさは、さらに余韻を残しましたね
Posted by 雪になあれ at 2012年09月18日 17:30
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