ワイルド・ソウル
垣根涼介著
この手の本はやはり好きです、勧善懲悪というか判官びいきというか、浪花節的な話だけど、話の閉じ方に納得でした。
登場する男どもがいい、男たちを犯罪に向かわせる動機を十分納得させるだけの描写が素晴らしいと思う。
文庫は上下2冊あってボリュームがありそうだけど、無駄を削り取った文章がこの男たちの誠実さを際立たせている。
彼らの背景を読者に読ませる(納得させる)ために前半かなりの頁を割いているが、少しも長回しに感じない、それどころか彼らに共感せざるを得なくなってくる。
前半から非常に面白いと感じた。
ストーリー後半から登場する貴子が実は『主人公』だったりする、自分はそう思う。
彼女の心の中の『言葉』と実際発する『言葉』の妙が、後半の男たちのシリアスさに華を添えている、というか彼女がストーリーに勢いを付けていて一気に読ませてくれる。
男たちに生き残って欲しい、男たちにブラジルに帰還して欲しい、と思うのはこの本の読者なら当然の情だろう・・・と思う。
そして、エンディングが近づくにつれ、自分は貴子にブラジルを訪ねて欲しいと思わずにはいられなかった。
本筋にワイルドソウルな男たちの犯罪が描かれるけど、貴子とケイ(男たちの中の主人公)の男女のやりとりがいつの間にか本筋に取って代わるように読めてくる。
エピローグと題して描かれる、貴子とケイの絵画的な『後日談』が微笑ましく、男たちの非現実的なワイルドソウルまで含めてあっさり収束させてくれる。
自分でも実感出来る『貴子とケイ』の男女間の気持ちの『その後』、そして最後まで硬派だった松尾の『遠い国での自由』を想像しながら読み終えられるこの本は素晴らしいと思う。
この本は著名な文学賞を受賞しているが、直木賞を受賞させたいような気がしてくる。
いつか↓この本↓も読まなくてはならないでしょう。
ラティーノ・ラティーノ!
『SANNY R』さんにトラックバック
『読書感想文 と ブツブツバナシ』さんにトラックバック
『D.D.のたわごと』さんにトラックバック
『Keityの簡単&オリジナルのすすめ』さんにさんにトラックバック
【垣根涼介の最新記事】




『ラティーノ・ラティーノ!』は、本屋さんでちらっとだけ立ち読みしました。
南米まで取材旅行ってすごいなぁ・・・というのが第一印象。また買って読みたいですね。
いい本に出会えると嬉しくなります。これだから本屋さん通いはやめられないですね(笑)
突然の訪問に応えていただきありがとうございました。
『ラティーノ・ラティーノ!』読み終えましたが、著者の型破りな人柄が出てて結構笑えました。
それと綺麗な写真が印象的でした、また寄らせてもらいます。
書いてる問題の重さと、魅力的な登場人物達。
よかったすよね!
そうだ、「ラティーノ・ラティーノ!」ありましたね!
また読んでないです。
『鎖』はいつか必ず・・・
そして五つ星の『13階段』は確か乱歩賞、『猿丸幻視行』と並んで自分の中では乱歩賞歴代のワンツーです。