2010年04月29日

日本語の個性 外山滋比古


 日本語の個性
 外山滋比古

 中公新書

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 外山さんの文体を気に入っていて、中味を理解しているとは思えないが、性懲りもなく読み続けてます。
 今回も日本語を粗末にしてきた日本人社会全体を叱責している調で突進していました。

 そもそも日本人は、「物」を海外に売り込むことにかけては熱心なのに、「言語(文化)」を輸出する気は毛頭なかった歴史が、日本語の進歩を妨げてきた、日本語を理解していない日本人を増殖してしまった、と。

 比較として、英国人を挙げていて、彼らは「物」と「言語(文化)」を同時に輸出してきた歴史を持っていると・・・品質の良い「物」であったのに、優秀な国語を身につけた紳士まで輸出してきた国民性を讃えていました。
 因みに米国人は、英国人と同じ言語であるのに英国人とは違うとも申していました。

 国語を理解し国際化する姿勢は、まねごと文化を独自の文化と履き違えてしまうような国民性には繋がらず、日本文化創造の契機となる。


 外山さんの主張は一貫しています。日本語の重要性をいつも説いています。日本語を理解し、主体的な姿勢が重要。母国語を理解していると勘違いしている馬鹿者が多く、そういった輩は独自の文化(主張)もなく独創性も乏しい、と。
 耳が痛いですが、そのとおりかもしれません。


 いつのまにか、外山さんの本も5冊目。カテゴリーを「その他」にしていては失礼極まりないので作りました。


posted by 雪になあれ at 23:09| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 外山滋比古 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月25日

満開の桜とスキー



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 約1ヶ月ぶりに雪山に行ってきました。
 週末の度に狙ってましたが、タイミングはなかなか合わないもんです。

 沼田界隈は今、桜が満開でした。
 今日はよく晴れていたので、綺麗でした。


 SKI DIARY


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posted by 雪になあれ at 22:05| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月19日

私の男 桜庭一樹

 私の男
 桜庭一樹
 文藝春秋

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 この本が話題となっていた2008年、とても興味があったのに買うでもなく借りるでもなくで、ただ多忙を理由にスルーしていたのを記憶している。
 文庫化され平積みされているのを本屋で発見して今回は手にしました。

 読んだ直後は、自分は鈍感なせいかインパクトがあまり感じられず、ただ北海道の絵画的な風景だけが印象に残った。
 幼い花が見つめる海、淳悟が「花は海から来た」という科白、島根出身の作者が見てきた海を印象的に使っているな、と感じていました。


 小説は、時間を遡っていく章立てだったので、もう一度第1章での花の気持ちや科白を読み返してみて、父娘の背負っていた生涯を何となく分かったような気がしました。
 そして自分なりにこの本の気持ちを理解してみて、とても感動しています。こんな本を仕上げた作者の構成力や気概にも感心しました。

 字面だけ追っていると父と娘、花と淳悟の背徳的な物語のようですが、自分はそんなことでは割り切れない印象を受けています。
 ある意味狂気ですが、花の毅然とした意志が読者を正気に連れ戻してくれる。

 徐々に明らかになってくる淳悟の複雑な少年時代、満たされることのない家族の記憶は、彼の気持ちに確実に隙間を空けていて、そこを花が埋めることになる。淳悟はずっと、その隙間を花で埋めたいと欲求していた。
 花を自分のものだと言い放って、ほったらかしにしている両親の墓に養女にした花を紹介したりする。
 写真に写る花を唯一の家族として記憶を蓄積した淳悟にとって、家族のつながりを成就した印象的な描写となっていた。

 淳悟がどんなことをしても花を守る気持ちは、読者に十分伝わってくる。
 盗んだ赤い傘で花を雨から守る冒頭の文章が、読む側の気持ちの中で増幅していくようだ。


 花の淳悟を思う気持ちについては、動機が不足しているような気もしたが、幼い花が初潮を迎え大人の女になったことが彼女の母性を膨らませた、と読むのかもしれない。
 もうひとつ、花と淳悟には血縁があることを暗示させていて、それを読者に認識させることも重要な布石になっていた。

 強そうで弱い淳悟に花が幼いながらも母性を発揮すること、奥尻での家族への不信が増幅していく花の複雑な心境も手伝いながら。

 そして、海をじっと見つめる幼い花の姿が大人びて感じられ、彼女の凛とした強い意志が伝わってくる。
 淳悟が「花は海から来た」というのも花の持つ母性を補強している。

 作者は、そんな言葉や自然(風景)を丁寧に積み上げながら、読者を説得し続ける、そんな真摯な書く姿勢にも感動してしまう。


 そして花が感じていた淳悟への父性と、淳悟が花に求めた母性が掛け合い、背徳とは違う印象を産み出していた。

 花が嫁ぎ、二人が暮らしたアパートから、押し入れの荷物も淳悟も姿を消して重い過去から解放されても、花は「自分の中に淳悟がいる」と感じるラストシーンは圧巻でした。

 二人はどこまでも繋がっている、二人にはお互いを包含しているほど強い絆がある。


 この本は理解しようとするほど、はまってしまうような小説で、作者の書ききった力に感動します。

 桜庭一樹さんの本は、これまでに1冊読んでいました。この本が話題になっていた頃、気になって読んだようです。
 今回、ようやくこの作家の核心の本を読んだような気がしました。非常に満足しました。

 次は赤朽葉家の伝説を読んでみたい。



posted by 雪になあれ at 22:52| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 桜庭一樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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